安倍大資(あべだいすけ)、フルエール代表、新聞記者出身コーチ(米CTI認定CPCC)。
1985年生まれ福岡県北九州市出身。
福岡県立小倉高校、早稲田大学商学部卒業後、2009年に日本経済新聞記者に。12年間で政治家、官僚、企業経営者、起業家、ノーベル賞科学者、大学教授からオリンピック金メダリスト、トップバーテンダー、登山家、NPO代表、原発技術者、八百屋の店主までさまざまな方を取材する。300万人の読者に向けて記事執筆や紙面編集の仕事を手掛けてきた。
心身の不調を機にコーチングに出会い、CTIジャパンでプロコーチとしてのトレーニングを積む。2021年4月に独立、「心ふるえるほうへ」をテーマとするフルエールを創業。通常のコーチングのほか、取材・編集経験と、コーチングを掛け合わせた個人向け新聞制作サービスを提供している。
記者の「聞く」とコーチの「聴く」の違い
東京・霞ヶ関担当の新聞記者をしていた11年目、私は心身の調子を崩したことがきっかけで、たまたま「コーチング」と呼ばれるものに出会いました。
初めて「コーチング」のやりとりを見たとき、私は不思議な違和感を覚えました。コーチングは、記者の取材と同じように相手と1対1で向かい合います。しかし「コーチ」と呼ばれている人の問いかけが、どうも新聞記者と似ているようで異なるように感じたのです。記者とコーチの「問いかけの違い」が、コーチングに興味をもったきっかけです。
そこから2年間、CTIジャパンでコーチングのトレーニングに没頭しました。学びながら気づいたことは、ニュースを追いかける新聞記者の場合は「起きた出来事や事実」を重点的に聞くのに対し、コーチの場合は「感情も含めた人そのもの」に焦点を当てて聴くということでした。新聞記者として10年以上の取材経験を重ねてきましたが「自分はどれだけ本当に人の話を聞けていたのだろうか」と自問自答しながら、「人をきく」ことの営みの深さに魅了されていきました。
私自身もコーチングを数多く受ける中で「人に自分自身のことを本当に聴いてもらう」ことが、どれほどありがたいことで、古い傷を負った過去を癒し、弱気になりそうな心を奮い立たせてもくれることを経験しました。特に人生の困難から立ちあがろうとする方にとって、そうした「聴き手」存在は、暗闇の中で輝く光のように、心を励まし、道を照らしてくれるものだと実感しています。そうした「目覚めの朝陽」のような存在になれればと思い、コーチの仕事をしています。
失敗して、立ち上がるの繰り返し
私は経歴だけ見るともしかしたら何か立派そうに見えるかもしれませんが、実際は相当に不器用な人間です。いろいろなことに失敗し、激しい挫折や孤立も経験しながら、なんとか進んできたというのが正直なところです。
大学受験では第一志望の学部に落ち、たまたま引っかかった学部へ失意の進学しました。休学の1年間も挟んで5年間の不完全燃焼の学部時代を過ごしました。
その悔しさから気象予報士をめざそうと決意し、25歳ごろから勉強を開始。2回くらいで合格できるだろうと思ったところ、7回落ちました。6年かけて8回目で合格しました。言葉通り、七転び八起きの苦しい経験でした。
新聞記者時代も、文章力にある程度自信をもって入社したものの、入社後すぐに配属された紙面編集部では、自分が考えた見出しがまったく紙面に残らず、上司から罵声を浴びせ続けられました。自分が書いた言葉が紙面に残るようになったのはようやく3年目くらいからで、言葉の厳しさを徹底的に教え込まれました。
趣味の山歩きでは20代後半の時、米国・ヨセミテの無人の森を歩くロングトレイル(ジョンミューアトレイル)を踏破したいと思い立ち、すべての夏休みをつぎ込んで挑戦しました。しかし、無計画がたたり、2日目の夜に熊に食料を奪われて撤退せざるをなくなってしまいました。悔しくて、もう一度再挑戦しようと奮い立ち、翌年に再挑戦して、150kmを7日間ほどかけてなんとか歩き通しました。
2021年に独立した後も、試行錯誤しながらなんとか進んでいる状態です。
独立してすぐに、退職金で軽トラキャンピングカーを購入し、日本一周の旅に出ました。途中で事故にあいそうになったり、道に迷ったりしながらも、各地でいろんな方に出会い、助けていただきながら、7ヶ月かけて走り切りました。旅の途中で、古巣の新聞社から「旅と仕事は両立できる」というテーマでラジオ番組に出させていただく貴重な経験もさせていただきました。
現在は、独立して現在4年目(2024年11月時点)になりますが、大小のいろんな失敗を数多く重ねてきています。激しい痛みや悲しみ、孤独や孤立も含めて経験してきました。あったはずの希望を失った絶望のトンネルの時期も過ごしました。明るい光だけでなく、自分自身の影を20,30代を通じてさんざん経験してきたことで、本当に勇者といえる人は、競争に勝ち続けてきた人ではなく、困難から立ち上がってきた人だという人間観をもっています。そして、人はつながりによって生かされていることを信じています。
沈黙と感情
コーチングを受けてみようかと思う方が求めているもの、それは「変化」ではないでしょうか。今の自分から何かより良い方向へ変わっていきたいという思いを持ってコーチングを依頼される方がほとんどだと思います。
では、変化のきっかけはどこから起きるのでしょうか。これまでのコーチングセッションの経験や自分自身の体験からも、それは「沈黙」から始まるように思います。コーチの問いかけに対して、はっきり言葉で言えない何かがありそうだという気づきが本質的な変化への最初の一歩になると考えています。
そのため、私たちが会話するときに当たり前に思っている「黙っているのはあまり良くないので、何か話さないといけない」という考えはコーチングの時間は手放していただき、沈黙の中からご自身の心から湧く本当の声を聞いていただくことを大事にしています。
沈黙と同時に、感情も大切にしています。仕事や普段の生活で忙しい日常を送っていると、理性的なことが優先されて、感情は蔑ろにされがちではないでしょうか。私も会社員時代はそうでした。しかし、コーチングを学ぶにつれて、見過ごしていた感情に気づいたり、感情を深く味わうことが、自分自身に深い変化をもたらすことを実体験で知りました。
喜びや楽しみだけでなく、向き合いきれていなかった悲しみなど一般的に「マイナス」と呼ばれる感情もじっくり味わうことによって、自分自身に許しの感情が生まれることもあり、それが行動を大きく変えていくことにもなります。普段に身にまとっている「理性の鎧(よろい)」をコーチングの時間は外していただき、ご自身の内面をじっくり感じ切ることも大切にしています。
コーチングを新聞記事にします
私の周りには多くの優れたコーチ仲間がいます。それぞれに強みや個性を発揮しながら仕事をしています。私の場合、他のコーチと異なる仕事として「コーチングを新聞記事にする」サービスをご提供しています。
通常のコーチングはセッションの回数を重ねていきますが、形になることはありません。新聞記者として記事を書いてきた私は、コーチングのやりとりが何も残らないことはもったいないように感じました。そこで、新聞記事にして見える形にできないかと考え、サービスとしてご提供することにしました。コーチングでご自身のことを見つめ直し、心からの願いや新たな決意を自分自身も含めた誰かに伝えていきたいと思う方に、ご利用いただきたいと思っています。
サービスを受けていただいた方からは「記事を通じて、自分自身の考えを客観的に整理することができた」といった声や「自分が取り組んでいる仕事を、一番知ってほしい人に伝えることができた」などといったご感想をいただきます。ご興味ある方には、コーチングと組み合わせて、ぜひご利用いただければと思っています。
コーチングセッションをご希望の方は、こちらから、本人に直接お問い合わせください。