コーチングの世界的な運動は、その源流を遡るとエサレン研究所における人間性回復運動(ヒューマン・ポテンシャル・ムーブメント)など、時代のニーズによって発展してきました。
1990年代初頭には、こうしたムーブメントがコーチング運動を生み出します。こうした運動の中心に、Co-Active®コーチングの創設者、ローラ・ウィットワースやヘンリー・キムジーハウスがいました。彼らにキャレン・キムジーハウスが加わり、3人は1992年にCTIを設立し、コーチング運動はアメリカを中心に急速に発展しました。
このCTIのコーチングのメソッドが集約されたものが、ローラ・ウィットワース、ヘンリー・キムジーハウス、キャレン・キムジーハウス、フィル・サンダールによる『コーチング・バイブル』(東洋経済新報社)という重要な著作です。この本によって紹介されたCo-Activeの思想は、アメリカとヨーロッパにおけるコーチングの発展に大きな影響を与えました。
それまでのコーチングは、コーチ自身の行動に焦点を当てていました。しかしCo-Activeのコーチングで扱うのは、コーチングによって作り出される人と人の関係です。Co-Activeコーチングでは、コーチとクライアントの関係性を数多くのわかりやすいツールに置き換え、扱いやすいものにしました。つまりCTIのコーチングの本質は、「影響力のあるコーチとなること」ではなく、「クライアントにとって影響のある関係性を生み出すこと」にあるのです。
2000年7月、日本人として初めてCTI認定プロコーチ(CPCC®)資格を取得した榎本英剛が、米国CTIから正式にライセンスを取得。同社の強力なバックアップのもとにCTI JAPANは設立され、日本におけるコーチングの黎明期から現在に至るまで、その発展に寄与してきました。2008年12月には株式会社ウエイクアップを設立。コーチングとリーダーシップの価値を伝えるべく、プログラムを提供しています。
一橋大学法学部を卒業後、株式会社リクルートに入社。1994年に退職後、米国サンフランシスコにあるCIIS(California Institute of Integral Studies)に留学し、組織開発・変容学を専攻、修士号を取得。留学中、人の可能性を引き出すコーチングに出会い、日本人として初めてプロコーチの資格を取得。帰国後、2000年にCTI JAPANを設立し、本格的にコーチングを日本に普及する活動に取り組みました。
2003年末にCTI JAPAN代表を退いた後は、持続可能な未来を市民の手で創るための世界的な活動であるトランジション・タウンおよびチェンジ・ザ・ドリームを日本に紹介。2012年に(よく生きる研究所)を設立し、「これからの生き方」をテーマに研究と活動を続けています。
著書に『本当の仕事』など、翻訳に関わった書籍に『コーチング・バイブル』などがあります。
『コーチング・バイブル(原題:Co-Active Coaching)』の共著者であり、CTIのファカルティメンバーを長年務め、CTIにとって初めての海外展開となるCTI JAPANの立ち上げに大きく貢献しました。2000年10月〜2002年6月、日本に滞在し、榎本英剛とともに当時の全コースをコーリードし、コーチングのマインドを日本に植えるとともに、それを根づかせるべく、CTI JAPANの初代日本人トレーナー陣の育成にも尽力しました。チーム・コーチング・インターナショナル(TCI)の創設者の一人でもあり、チーム・コーチングの分野における先駆者でもあります。闘病生活の末、2020年4月逝去しました。