民間企業管理職 河本 敦子さん

1974年生まれ。立教大学卒後、民間クレジットカード会社に入社。
カードカウンターでの接客業務、人事部、店舗マネージャー、課長職を経て、現在店舗営業グループ長(部長職)。
2004年(当時は人事部に所属)CTIジャパンのコーチングの応用コースを修了。
2007年にリーダーシップ・プログラム、2008年に上級コースを経て、CPCC(CTI認定プロフェッショナル・コーアクティブ・コーチ)の資格を取得。

自らの意志で起こした
最初の行動

コーアクティブに出会ったころの話を聞かせてください。

入社5年目に人事部で教育、採用を担当し始めました。丁度その頃、社内の360度評価で「いざという時に強く主張できない」と指摘され、私はその弱みを是が非でも克服しなくてはと模索している中で、コーアクティブ・コーチングのコース(*1)に出会いました。

あるコーアクティブ・コーチが行ったミニワークショップで実際にコーチングを行った時に、これは私がやりたかったことかもしれない、と直感的に思いました。

会社人生で初めて、最大の勇気を振り絞って上司に「コーチングのコースを受講するために、金、土、日と仕事を抜けることを許可してほしい〔サービス業のため、土日は休みではない〕」と直談判しました。こんな行動をさせたコーチングはすごい、と思いました。

今思えば、コーアクティブ・コーチングによって、自らの意思で起こした最初の行動です。

応用コースを進む中で、自分が「人の期待に応えるべき」と思い込んで生きていたことに気づかされました。それ以外の生き方など知らなかったので、衝撃でした。

360度評価での指摘を克服するのに躍起になっていたことも、その思い込みから来ていると分かり、私の人生を変える大きな気づきのひとつとなりました。

何がコーアクティブの旅を進む原動力になりましたか?

実際にコーチングのコースに行って、講師を務めるリーダーは宇宙人だと思いました(笑)。生まれて初めて「この人のようになりたい」と思う人に出会いました。

リーダーのあり方(Being)に惹かれたんです。どうしたら、あんな風に自然体で、ちょっとしか話さないけど核心に触れられるのだろう?相手をどうにかしようという操作的なところが微塵もないあり方に魅了されました。自分とは真逆です。

そのリーダーのようになりたくて、その後のコーアクティブの旅に邁進することになります。その時はただ、憧れの人に近づきたいという子どもみたいな単純な動機でしたが、その時から自分のあり方(Being)を探る旅が始まった感じです。

もうひとつは、自分がコースやプログラムの中で学んだことを、面談や新人研修の中で使う実践の場があったことが幸いしました。

実践することで自分が学んだことが深まり、するとまた新しい世界が見えてきて、私にはそれが楽しかったです。

当時、部下との面談で、「好きなことは?」「何をしている時が楽しい?」などと仕事と関係ないことを訊き始めました。「食べること」「映画」「カラオケ」・・・「なんでそれが好きなの?」と続けるうちに、相手が大事にしていることが分かったりして、それはもう発見でした。

現在も、マネージャー試験を受ける部下にトレーニングと称して、自主面談しています。業務終了後の面談だから、お互いに疲れているんだけど、「本来のあなたは何を大事にしたいの?」などとコーチング的な関わりをすると、相手も自分も元気になってくるのが分かります。目標達成のためだけの面談とは全く違う質感になります。

まるで、人生の目的(*2)に沿って、響く行動をしているように聴こえますね。

そう、CTIでいう「人生の目的」ですね。もっとラフに言うと、「それしか信じられるものがない」みたいな感じです。

「人はそれぞれ目的を持って生まれてきていて、それを思いだせば世界はうまく行くはずだ!」という自分の信念は、リーダーシップ・プログラム(*3)の旅の中で見つけて以来、ずーっとぶれないのです。

人生の目的を意識して行動する時、人の可能性を信じて関わるNCRW(*4)のスタンスは一番機能すると思っています。

その後、陰陽五行など人の可能性をひらくのに役立ちそうな様々な勉強会にも出ていますが、結局NCRWを違う表現で教えてくれて、本当に大切なことは東洋でも西洋でも同じなんだなと感じます。

思考のクセと
あり方"Being"の変化

自分のあり方(Being)を探る旅には、どんなチャレンジがありましたか?

リーダーシップ・プログラム終了直後は、新たに学んだことと自分の慣れ親しんだ思考のクセが相容れず、「学んだことは本当に社内で全うできるんだろうか?」という葛藤がありました。

社内で「人生の目的」に気づいてもらう関わりをすることは、日常の仕事とは余りにかけ離れていると感じて、恐らく2年くらいは問いとして持ちながら、何をしたら良いのか分からずトンネルにいましたね。

あんなに沢山学んだのに・・・と焦る時期もありましたが、そのうち、まあ悩んでも仕方がないと、放っておきました(笑)。

慣れ親しんだ思考のクセを変えるのは一筋縄でいかないと思いますが、何が意識の変化に役立ちましたか?

それは、リーダーシップ・プログラム中の屋外でのある演習がきっかけになったと思います。演習の内容を説明された時、これは失敗させるゲームで、絶対に無理だと瞬間的に思いました。

でも、私より先にチャレンジした人たちが成功し始めたのです。自分の順番が来てとりあえず始めましたが、途中でやっぱり無理だと思いました。

その瞬間、グループの仲間の声援が聞こえ、自分の内側からとんでもない力が湧き起こり何かがパキッと変わりました。次の瞬間、無理だと思っていたことができている自分がいました。

これまでの人生で、あんなに衝撃的な体験はありません。味わったことのない爽快感。見たこともない景色に出会った瞬間です。

その経験が、慣れ親しんだ古い思考のクセを取り払い、あり方(Being)に変化を起こしてくれたようですね。

その瞬間は、何が起こったのかは分かりませんでしたが、後でよく考えたら、その時の仲間の応援の声は、(それまで知っていた)人から期待される時の応援の声とはエネルギーが違っていて、私の力を信じているからこその応援であることに気づきました。

人から自分の力を信じて応援されることの力強さを知り、自分にもそういう応援者気質があることにも気づき、その後「チームで仕事をしていく」と決めるきっかけになりました。

「チームで仕事をしていく」というのは、純粋な自分の願いであり、これも「人の期待に応えるべき」という古い思考のクセから自分を解き放つ貴重な経験になりました。

その演習の時の体験のお陰で、日常で「無理でしょ」と思っても、その意識に留まることはしなくなりました。無理って思っていることは無理じゃなくて、「自分がやるかやらないかだけ」なのだと分かったからです。

あの時に、ゲームをやらないという選択肢もありました。でもやったからこそ「できた!」というかけがえのない経験ができ、それが新たな信条として自分の中に根付き始めました。

仕事では、ある日突然、チームの長の役割がやってきました。最初は無理と思っていましたが、あの演習を思い出し「やってみないと分からない」という心境になれました。

リーダーシップ・プログラムでの学びの実践と、コーチと一緒に自分を定期的に振り返る時間がなかったら、こんなに短時間での意識の変化はなかったとしみじみ思います。

その後も1〜2年ごとに目まぐるしくポジションが上がって、部下の数は30人、100人、300人、800人と増えていますが、その時の自分の力量に合った場が与えられるはず、越えられないチャレンジは来ないと思えるようになりました。

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*1. コーアクティブ・コーチングのコース
コーアクティブ・コーチングの土台となる考え方や様々なスキル、コーチとしてのあり方等を、体験を通じて学ぶプログラム。基礎コース・応用コース・上級コースの3つのカリキュラムで構成されている。
http://www.thecoaches.co.jp/coaching/

 

*2. 人生の目的
自分が何のために生まれてきたのかの唯一無二の独自の理由。それを思いだし、覚えておくための仕組み。

*3. リーダーシップ・プログラム
自分が本来持っている個性や強みを最大限に発揮し、人と恊働しながら、自分が信じることをこの世の中で実現するためのやり方(Doing)やあり方(Being)を体験を通じて学ぶ、約10か月間にわたるプログラム。
http://www.thecoaches.co.jp/leadership/

 

*4. NCRW
コーアクティブ・コーチングの重要な土台の一つである、人の可能性を信じる人間観の、英語の頭文字。
People are Naturally Creative, Resourceful and Whole.
人はもともと想像力と才知にあふれ、欠けるところのない存在である

響きから生きる人たち インタビュー

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